労務サポート
(コンサルティング)
SUPPORT
労務管理
労務管理の重要性
企業は基本的に、「ヒト」「モノ」「カネ」の三要素に加え、「情報」などの経営資源によって成り立っています。このうち「ヒト」、つまり会社で働く人材という資源を管理し、会社の目標に導き、マネジメントしていくことを「人的資源管理」「人事労務管理」もしくは「労務管理」等と呼んでいます。
労務管理とは、個々に意志を持ち、多種多様な個性を持つ経営資源である「人材」をマネジメントすることであり、他の資源と比べても管理が難しい分野であるといえます。しかしながら、会社の成長にとって優秀な人材は不可欠です。そのため、優秀な人材を獲得し、また既存の従業員が自身の持つ力を最大限に発揮できるようにするために、労務管理は企業経営の中でも重要な役割を担っているとして、古くから研究されてきました。
一般に、会社の中で労務管理を行うのは通常「人事部」や「総務部」などの部門担当者ですが、それらの部門を持たない、もしくは持っていても専門知識や実務経験が不十分な中小企業・小規模企業では多くの場合、経営者自身や親族が労務管理を担うこととなります。しかしながら、何から手を付けたら良いかわからず、不安に思う経営者、担当者の方も多いのではないでしょうか。
近年、ブラック企業や長時間残業などが問題になり、働き方改革がテーマとなっていますが、会社の成長や事業の拡大において、従業員の「労務管理」は重要な課題といえます。従業員にとって働きやすい環境が整っているか、効率的に業務が行われているかなど、しっかり会社側が把握する必要があります。
そのため企業の活動を円滑に進めていくためには労務管理は欠かすことができません。自社が抱えている問題点や「人間関係への不満」「事業内容への不満」「給与への不満」「労働時間への不満」といった従業員が感じる会社への不満をしっかりと把握し、改善していくための制度づくりに取り組んでいかなければなりません。
労務管理とは?
労務管理とは、従業員の賃金や福利厚生など、労働に関することを管理する仕事のことです。労働時間の管理、賃金システムの見直し・管理などが業務に含まれます。労務管理と比較される人事管理は、従業員の雇用から解雇までの管理を行い、人事考課や採用、従業員の異動・配置などの業務が含まれます。
従業員が高いパフォーマンスを発揮できるようサポートをすることで、企業活動を円滑に進めるための重要な役割を担っています。
従業員を雇用したときに
必要な労務管理
労務管理は従業員を雇用したときからスタートします。まずは、従業員と会社間で労働契約を結ぶ必要があります。法的には、労働条件の明示(労働基準法15条)で足りますが、言った・言わないを避けるために、契約書を作成している会社も多いと思います。契約書の代表的な項目としては、下記のようになります。
- ①労働期間
- ②労働時間
- ③労働の対価
- ④業務内容
労務管理の基本となる
法定三帳簿
「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」のことを、合わせて「法定三帳簿」といいます。これらは、労務管理において非常に重要な役割を果たし、3年間の保存義務があります。
また、退職金に関するものは5年間、雇用保険の被保険者資格に関するものは4年間、安全衛生に関するものも一定期間の保存が必要です。社会保険や雇用保険の手続きに必要となることも多いため、いつでも確認できるよう保管しておきましょう。
- ①労働者名簿
- ②賃金台帳
- ③出勤簿
社会保険の加入手続きに
ついて
社員を雇用するときは、社会保険・雇用保険の加入手続きが必要です。手続きは所轄の年金事務所やハローワークで行い、社会保険の手続きは雇用から5日以内、雇用保険は雇用日の翌月10日までに行います。
短時間勤務の労働者の場合、社会保険は、正社員の4分の3以上の労働時間だと適用され、雇用保険は、週20時間以上の労働時間だと適用されます。ただし、社会保険については、大企業または中小企業で労使合意がある場合、労働時間が週20時間以上、あるいは1ヵ月の賃金が8万8,000円以上などの条件によって適用となります。
労働時間や休憩などの
勤怠管理
労務管理では、従業員の労働時間が守られているか、労働時間が正しく記録されているかなどを確認します。
労働基準法では、1日8時間、週40時間までが法定労働時間と定められているため、この時間内の労働が基本となります。残業など、時間外労働や休日出勤には別途手当の支給が必要です。ただし、残業代などを支払っても、36協定を締結していなければ違法です。
従業員の健康管理も大切
労務管理の中には、従業員の健康管理も含まれます。労働安全衛生法により、年に1度従業員に健康診断を受けさせる義務があるため、健康診断の周知や手配をしなくてはいけません。ほかにも健康保険組合が行うインフルエンザの予防接種補助の案内もします。
近年では、メンタルヘルスに対する関心も高く、労働者が50人以上いる事業所では、年に1度ストレスチェックを実施することが義務付けられています。健康面だけでなく心のケアを行うことで、業務を円滑に進められるようになるでしょう。
ハラスメント対策に
ついて
職場におけるセクハラやパワハラは、従業員に不要なストレスを与え、事業発展の妨げにもなります。これらハラスメントの相談窓口を設けることも、労務管理の仕事のひとつです。
- ①パワハラ対策
- ②セクハラ対策
社員が退職時に
やるべきこと
社員から退職届を受け取った場合、社会保険の資格喪失手続きや源泉徴収票の発行などを行います。退職金が支払われる場合は、退職金の計算や退職所得の源泉徴収票の発行も行います。ほかにも、社員証や名刺、貸与品を回収する必要があります。
社員の休職や異動の
手続きについて
産後休業や育児休暇の取得や、傷病によって休職する場合、就業規則を基に手続きをする必要があります。
出産一時金や育児休業給付金、傷病手当金などの手当の有無についても確認が必要です。ほかにも、結婚や出産で扶養親族が増えた場合や、引越しをした場合は変更内容を申請してもらう必要があります。変更手続きの申請方法の周知を徹底することも労務管理の一環です。
労務管理を徹底して
安心できる職場づくりを
労務管理の内容は非常に多岐にわたる上、法令に関する内容も多く複雑です。
知らず知らずのうちに法令違反をすることがないよう、社労士に相談をしながら労務管理を行っていくと安心です。
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就業規則
就業規則とは何か?
就業規則とは、企業と従業員との約束事を明文化した、職場におけるルールブックです。英語では「Rules of Employment」と表現します。就業規則には、賃金や労働時間、休日などの「労働条件」のほか、業務に対する姿勢や職場・備品の使用など、従業員が守るべき行動規範を定めた「服務」などを明記して社内に周知します。
記載内容に関する基本的なルールはあるものの、内容は企業によってさまざまです。
就業規則の必要性
就業規則があることで、企業や従業員にどのようなメリットがあるのでしょうか。
①社内ルールを明文化することにより、人や時期による判断のばらつきがなくなる
仮に就業規則がない場合、社内で何らかの判断をする際に、人や時期によってばらつきが生じやすくなります。
人により異なる対応をしていると、従業員同士で衝突が起きたり、統率が取れなくなったりするなどの問題も発生します。社内ルールを明文化しいつでも自由に確認できれば、従業員が安心して働ける職場環境の整備につながります。
②企業と従業員間でのトラブルを防ぐことができる
就業規則がないと、企業と従業員の間で認識の違いが生まれ、トラブルに発展する恐れもあります。たとえば「解雇を予告または通知した社員から不当だと訴えられる」などです。しかし、解雇に関する規定を明記しておけば、従業員の行動なり態度が、解雇に該当するかどうかの判断基準となります。また、解雇に至っては規定そのものがないと行うことができない、または紛争の原因になる可能性もあります。就業規則を作成することで、従業員とのトラブルを未然に防ぐと同時に、トラブルが発生した際にも適切に対応することができます。
就業規則は作成しないと
法律違反になる?
就業規則については労働基準法で定められており、作成しなければ法律違反になるケースがあります。
①常時使用する労働者が10名以上の場合、労働基準監督署への届け出が義務付けられている労働基準法第89条では、「常時10名以上の労働者を使用する使用者」に対して、就業規則の作成と届け出を義務付けています。「常時10名以上の労働者」がいるかどうかについては判断が難しいところですが、下記のような条件で労働者をカウントします。
●常時使用する労働者数のカウント方法
事業所・事業場ごとにカウントします。(たとえば従業員が5名の小規模な事業所を複数持っている企業は作成義務なし)
常時労働者には、非正規雇用のアルバイトやパート、契約社員も含む
産休中や育休中であっても、籍がある限りは含む
つまり、繁忙期だけ一時的・短期間の契約で雇用している従業員を除き、事業所に従業員が10名以上いる場合には作成が必要となるのです。当然、10名以上在籍していれば、10名未満の人数でローテーション勤務を組んでいる場合にも、就業規則を作成する義務が発生します。
就業規則の作成義務があるにもかかわらず作成していない場合は労働基準法違反となり、30万円以下の罰金刑の対象となります。
②10名未満の場合は、就業規則がなくても法律違反にはならない
労働者が常時10名未満であれば、就業規則がなくても違法ではありません。しかし、就業規則は企業にとってのルールブック。トラブルを未然に防ぐために、義務ではなくとも作成しておきたいところです。
新たに就業規則を
作成するときの
基本ルール
就業規則に記載する事項は、大きく3つに分けられます。1つ目は必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」、2つ目は当該事業場で定める場合に記載しなければならない「相対的必要記載事項」、3つ目は使用者が任意に記載できる「任意記載事項」です。なお、本来記載すべき必要記載事項の一部を欠く就業規則を届け出たとしても、労働基準法第89条違反の状態はそのまま残りますので注意が必要です。
絶対的必要記載事項 | 相対的必要記載事項 |
【労働時間に関する事項】
【賃金に関する事項】
|
|
絶対的必要記載事項①:
始業および就業の時刻
企業は、法律で定められた「法定労働時間(原則1日8時間、1週40時間)」の範囲内で、「所定労働時間」を定めることができます。また、始業および終業の時刻を定める必要があるため、「始業9時~終業18時」など、明確な時間を記載します。時間外労働が発生する企業をはじめ、変形労働時間制やフレックスタイム制を導入している企業では、それらの規定に関しても明記します。
絶対的必要記載事項②:
休憩時間、休日、休暇
労働基準法では、6時間を超える勤務の場合は少なくとも45分、8時間を超える勤務の場合は少なくとも60分与えなければならないと定められています。「12時~13時(60分間)」など具体的な時間を明記するようにします。なお、休憩時間は労働時間の途中で取得させることが正しく、業務開始前や終了後に取得させることは違法です。
絶対的必要記載事項③:
就業時転換
工場勤務や医療施設など途切れることなく人が働いている業態では、労働者を2組以上のグループに分類し、交替で働かせる「就業時転換」が必要となります。このような交替制を導入する企業は、就業規則に交替制の詳細を記載する必要があります。
絶対的必要記載事項④:
賃金
賃金に関して必ず記載しなければならないのは、「賃金額の決定」「賃金の計算方法」「支払方法」「賃金締切日や支払日」です。賞与などの臨時に支払われる賃金は、絶対的必要記載事項ではありませんので、除外されます。
賃金額には、基本給だけでなく、皆勤手当や技術手当などの各種手当や時間外労働・休日労働などに関わる割増賃金率などの詳細も含まれるため、併せて記載します。賃金に関する規定は記載内容が多いため、別紙で「賃金規程」を作成する場合もあります。
●賃金規程に関する項目
項目 | 内容 |
---|---|
賃金の構成 | 基本給・手当など項目の定義を明確に規定 |
賃金の支払い | 計算期間や、支払日、支払方法、臨時支払などを具体的に規定 |
賃金の計算基準 | 出勤率の計算、中途入社、退職者、復職者、休職者の賃金計算、 端数処理などを規定 |
基本給 | 給与額の設定について規定 |
手当 | 営業手当、職務手当、時間外手当、休日勤務手当、深夜勤務手当、 年次有給休暇中に支払う賃金、役付手当、家族手当、住宅手当、通勤手当、 精皆勤手当、別居手当などを規定 |
昇給 | 昇給の時期や評価項目に関する規定 |
賞与 | 支給日、支給基準、評価期間に関する規定 |
絶対的必要記載事項⑤:
退職・解雇
従業員の退職には、「雇用期間の満了」「自己都合退職」「休職期間満了」「死亡」など、さまざまなケースがあります。退職のケースや退職の申し出の時期、支給品の返納義務などについて、具体的な記載が必要です。定年退職制度がある場合は、年齢や退職の時期、継続雇用制度を導入している場合はその詳細も明記します。また解雇の項目では、解雇事由が必要です。解雇予告についても記載される例が多く見受けられます。
相対的必要記載事項の記載内容
相対的必要記載事項は、絶対的必要記載事項と違って記載がなくても「不備」とはなりませんが、当該事業場で定める場合に記載する必要があります。
項目 | 記載内容 |
---|---|
退職手当 | 「退職金の支払額」「計算基準」「支給の基準」について明記する |
賞与 | 賞与など臨時的に支払われる賃金制度がある場合は詳細を明記する |
最低賃金額 | 毎年更新される各都道府県の最低賃金額を上回る内容であるか、注意が必要 |
食費・ 作業用品などの負担 |
|
安全衛生 |
|
職業訓練 | 新入社員研修や管理職研修などの研修制度を設けている場合、 期間や内容などの詳細を記載する |
災害補償・ 業務外の傷病扶助 |
|
表彰・制裁 |
|
その他の事項 |
|
雇用形態ごとに規則が
異なる場合は
つくり分けることも
契約社員やパート・アルバイト、嘱託社員など、雇用形態が複数あり、それぞれの条件が異なる場合、雇用形態ごとに就業規則を作成する企業もあるようです。従業員が自身の雇用形態の就業規則を確認しやすくなり、ルールも周知しやすくなります。一方で、雇用形態によって不利なルールが生じないように注意が必要です。
就業規則を新たに
作成したときの
届け出フロー
就業規則を作成したら、労働基準監督署に届け出を行います。
STEP
届出に添付する労働者の過半数代表者からの意見をもらう
就業規則を労働基準監督署へ届け出る場合、就業規則と合わせて「意見書」の提出が必要となります。意見書とは、労働者代表から意見を聴取した証明となる書類で、就業規則を作成する際は、労働者の過半数で組織する労働組合、該当する組合がない場合においては、労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことが定められています。様式に決まりはありませんが、書面には労働者の代表者に就業規則に対する意見を書いてもらい、署名・押印してもらいます。特に意見がない場合でも、「特に意見はありません」などと記入した上で添付します。
STEP
就業規則届を作成
届け出る際の添付書類として、就業規則の表紙となる「就業規則届」の作成も必要です。意見書と同様に決まった様式はなく、「企業の名称」「企業の所在地」「企業の代表者の職氏名」などが記載されていれば書式は自由とされています。就業規則の表紙となる就業規則届を作成後、代表者印を押印します。
STEP
就業規則、意見書、就業規則届を管轄の労働基準監督署へ届け出る
「意見書」と「就業規則届」を添付した就業規則を2部用意して、管轄の労働基準監督署へ提出します。1部は労働基準監督署に提出し、もう1部は労働基準監督署で受付印を押されたものが返却されるため、企業で保管します。
就業規則の周知方法
労働基準法第106条では、「就業規則は各作業所の見やすい場所への掲示、備え付け、書面の交付などによって労働者に周知しなければならない」と定められています。周知には以下のような方法があります。
●就業規則の周知方法
・法律上で定められているもの
- ①常時各作業場の見やすい場所へ掲示する、または備え付ける。
- ②書面で労働者に交付する。
- ③PCなどの機器にデジタルデータとして記録し、各作業場で労働者がいつでも内容を確認できる機器を設置する。
・より浸透させるための取り組み
- ①従業員と個別に面談を行って趣旨を説明し、内容を確認後に書面でサインをもらう。
- ②集合研修の機会を設けて、説明を行う。
- ③経営者が幹部やリーダー層へ説明し、一般社員へ説明する。
いずれの方法でも「周知」されていることが重要であり、それぞれの企業に合った方法を選択できます。掲示するだけでは十分に周知できない可能性があるため、「個別面談や集合研修の場で説明する」などの働き掛けによって、従業員
に理解してもらうことが重要です。一方で、就業規則は企業機密でもあるので、やみくもに公開するのではなく、「就業規則を印刷しない」「社外への持ち出し禁止」などのルールを設けることも検討しましょう。
就業規則の変更フロー
一度作成した就業規則を、変更しなければならないケースがあります。
「労働関連の法令が改正された場合」や「最低賃金が改定された場合」、また「経営状況の変化で現行の規定を変更しなければならない場合」などです。では、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。
STEP
就業規則の変更箇所を経営陣で承認
就業規則の変更に当たっては、まず総務部などの担当部署で変更案の草案をまとめます。正社員のほか、パートやアルバイトといった非正規労働者がいる場合には、適用される従業員の範囲を決めることも必要です。その後、法律に抵触する部分がないか、法務担当者(不在の場合は社労士などの専門家)などによる確認を行います。問題がなければ、取締役会で承認を受けるなど、経営陣の合意を得ます。
STEP
届出に添付する労働者の過半数代表者からの意見書をもらう
就業規則を変更する際にも、「意見書」の添付が義務付けられていますが、手続きは新規作成の場合と同様です。ただし、就業規則を不利益に変更する場合は、労働者の同意を取り付けるなど、別途対応が必要です。労働者の過半数の代表者に特に意見がない場合にも、意見書には「特に意見はありません」と記載します。労働組合に加入している場合には労働組合の名称、それ以外の場合には、代表者の選出方法についても記入が必要です。
STEP
就業規則変更届を作成
就業規則を変更した場合は、届け出る際の就業規則の表紙となる書類「就業規則変更届」を作成し、添付します。決まった様式はなく、「企業の名称」「企業の所在地」「企業代表者の職氏名」などが記載されていれば書式は自由とされています。
STEP
就業規則、意見書、就業規則変更届を管轄の労働基準監督署へ届け出る
変更を届け出る場合は、変更した部分の就業規則を添付して新旧対照表などにすれば、全文を添付しなくてもかまわないというルールになっています。育児休業規程や退職金規程など、就業規則とは別の規程がある場合は、就業規則と併せて届け出ます。労働基準監督署へ届け出る部数については、「変更した就業規則」「変更した箇所が確認できる書類」「意見書」「就業規則変更届」をそろえたものを2部用意し、労働基準監督署へ提出します。1部は労働基準監督署に提出し、もう1部は労働基準監督署で受付印を押されたものが返却されるため、会社で保管します。
STEP
従業員へ変更の周知を図る
就業規則を変更しただけでは意味がありません。内容を変更した場合においても、その都度、変更後の内容を従業員に周知するようにしましょう。
就業規則に違反した
場合の対応方法
就業規則に違反する従業員がいた場合には、どのように対応すればよいのでしょうか。違反した場合の対応についても、事前に就業規則に定めておくことで、適切に対応することができます。
①就業規則に懲戒に関する
内容を明記しておく
違反した場合の処分について、就業規則の「懲戒」という項目で定めることができます。懲戒には一般的に下記の種類があります。
●懲戒の種類と内容
懲戒の種類 | 内容 |
---|---|
訓告 | 文書によって厳重注意をし、将来を戒める |
譴責(けんせき) | 始末書を提出させ、将来を戒める |
減給 | 1回の額が平均賃金の1日分の半額、総額が1賃金支払期の賃金総額の10分の1以内 で減給する |
出勤停止 | 出勤停止を命じ、この期間の賃金を支払わない |
降格 | 資格等級の引き下げや役職の引き下げ |
諭旨退職 | 合意退職に応じるよう勧告する |
懲戒解雇 | 解雇予告期間なしに即時解雇する |
ただし、労働契約法第15条で「懲戒が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、当該懲戒は無効とする」と定められており、使用者側にとって有利になる懲戒事由だけを盛り込めるわけではありません。また「懲戒」は、最終段階である「解雇」を踏まえて事由を定めておくことが大切です。
②就業規則違反が起きた場合の
対応方法
STEP
現状把握
STEP
対処方法の検討・提示
STEP
変化があるかを観察
STEP
注意
STEP
懲戒
STEP
解雇
従業員が就業規則に違反したとき、すぐに懲戒に踏み切るのではなく、対象の従業員や周囲にもヒアリングを行い、状況を把握することから始めます。「そもそも就業規則の内容を理解していない」「本人だけでなく、チーム・部署・組織全体の在り方にも原因がある」といった可能性もあります。客観的に状況を捉えた上で対処方法を検討し、本人や周囲に提示しましょう。
変化が見られない場合は個別に注意を行い、それでも改善されない場合は懲戒を検討します。就業規則に記載した内容に応じて、段階を踏んで処分を科す必要があります。
まとめ
就業規則は、社内における「規則」を明文化したものです。基本的なルールはありますが、企業の規模や業種、従業員数、経営状態、業態などによって必要なルールが異なるため、サンプルを流用するだけではなく自社に合った内容であることが重要です。
常時使用する労働者が10名未満で作成・届け出の義務がない場合でも、就業規則を作成することで「社内ルールの見える化」や「労使間トラブルの防止」などのメリットがあり、企業のリスク軽減にもつながります。
知らず知らずのうちに法令違反をすることがないよう、社労士に相談をしながら就業規則の作成や見直しに取り組んでみてはいかがでしょうか。
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①簡易労務コンプライアンス
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●監査項目
- 就業規則
- 労働協約
- 労働時間
- 賃金
- 有給休暇
- 36協定(労使協定)
- 健康診断
- 安全衛生法
- 労働保険・社会保険
テーマ別
労務コンプライアンス
監査:有料
テーマ別に労務監査を行います。法改正への準備や労務管理上適正かどうか不安な項目の見直しとしておすすめしています。監査は各テーマごとに承ります。
●テーマ
- 就業規則監査(法令監査・運用監査)
- 期間雇用監査(雇止め・無期転換等)
- 未払い賃金監査
- 同一労働同一賃金監査
- 労働時間監査
- 安全衛生法監査
- 行政調査疑似監査
行政機関の調査(年金事務所・労働局の調査、労働基準監督署の是正監督等)で確認される内容を監査します。監査は、各調査ごとに承ります。
定期監査:有料
各監査実施後のアフターフォローとして定期的に行う監査です。実施した監査結果の情報をもとに、一定期間のデータを集計し、コンプライアンスの状況(監査で改善点がある場合は見直しが行われているか)や労務管理体制の変更の有無、年間計画の運用状況等をチェックします。企業が継続的に労務管理の改善を図れるようサポートします。